最新動向

GPT-5登場 英語教育への影響は

南部 久貴

みなさん、こんにちは。
『AI英語教育ラボ』を運営している南部です。

2025年8月8日、OpenAIがGPT-5を正式リリースしました。この記事では、GPT-5の登場が英語教育に与える影響を、次の5つのポイントに絞って整理します。


GPT-5でここが変わる5つのポイント

1) 言語モデルの世代交代 — モデル選択の迷いを最小化

これまでChatGPTでは、GPT-3.5、GPT-4、GPT-4o、o1、o3など、用途に応じてモデルを使い分ける必要がありました。

GPT-5の登場により、GPT-5系を選べばよい、というシンプルな構図になります。

私のChatGPT Plus(月額20ドル)の環境でも、選択肢が「GPT-5」「GPT-5 Thinking」に整理されていました(上位プランでは「GPT-5 Pro」も利用可能)。

使用できる言語モデルがGPT-5系に整理された

「どのモデルを選べば良いかわからなかった」「モデルの違いを意識したことがなかった」という方でも、これからはあまり意識せず ChatGPTを活用できるようになります。

※なお、無料版ユーザーはまだGPT-4oが使用されているようでした。今後、GPT-5系に切り替わっていくと考えられます。(2025年8月8日時点)

2) 正確さと日本語対応の進化 — 教材作成と指導が安定

GPT-5はハルシネーションの発生頻度が、さらに低下したとされています。また、日本語の理解・生成も向上しています。

ハルシネーション率がかなり低くなっていることがわかる
(引用:サム・アルトマンCEOのXポストより)

ChatGPT登場初期はリスクとして語られたハルシネーションも、モデルの性能向上や検索の併用によりかなり抑えられるようになりました。このことは、教材づくりや生徒へのフィードバックにおいても良い影響がありそうです。また、日本語で英文解説や説明を求める場面でもより正確に活用できるようになることでしょう。

3) ロングコンテクストの強化 — 長文答案と複数資料を一括処理

これまでChatGPTは、長い文章や大量の文書を読み込ませてやり取りを行うと、内容を省略して回答するという傾向にありました。この部分も改善され、GPT-5では長い文脈(コンテクスト)の理解、保持が強化されました。

ロングコンテクストにおけるGPT-5のパフォーマンスが従来のモデルに比べて高いことがわかる
(引用:サム・アルトマンCEOのXポストより)

これにより、

  • 論文などの比較的長い文章についての詳細な質問
  • 複数の資料(ニュース、論説、統計)を束ねた要約・比較
  • 大量の過去の問題を読み込ませた上で分析させたり、似た問題を作成させる

といったことが、より正確に行えるようになりました。

4) 音声対話の実用化 — スピーキング練習を教室外へ拡張

音声対話機能もアップデートされました。

応答の速さ、抑揚、ターンテイキングが自然になり、会話が途切れにくくなりました。指示への忠実度も上がり英語教育の文脈ではロールプレイなどにも活用できます。

24:50あたりからVoiceモードの実演

プレゼンテーションでは、「学習モード」をオンにした状態で、韓国語の練習をChatGPTと音声で行っている様子が実演されました。

無料ユーザーでも数時間使用でき、月額20ドルのPlusユーザーではほぼ無制限に使用できるとのことだったので、英語スピーキング学習に活用できそうです。

5) “Vibe Coding”がより身近に — 先生が自作できる“ツール”が増える

GPT-5はコーディングの性能がかなり高くなっています。

最近注目を集めている「vibe coding(バイブ・コーディング)」(作りたいものをAIに伝えて、AIにコードを書いてもらってアプリ等を作る開発方法)もより一層身近になりそうです。

ちょっとしたツール(作文フィードバック、語彙テスト自動生成、口頭試問の採点補助など)を、授業に合わせて素早く自作することも可能になり、学習の幅が広がりそうです。


まとめ

今回、GPT-5は従来モデルの置き換えとしてリリースされました。今後は、基本的にGPT-5系を使う場面が中心になっていくでしょう。

これまでGPT-4oでも高精度だった英作文の添削は、GPT-5でさらなる正確さが期待できそうです。さらに、英語教育の文脈では、とりわけ音声対話のアップデートが大きいと感じます。私はGPT-4oベースのRealtime APIを活用してきましたが、「ゆっくり話して」という指示に従ってくれないため、スピーキングが苦手な生徒が苦戦するという場面がよくありました。デモンストレーションを見る限り、従来より指示に従順に追従する印象があ流ので、今後検証して、生徒にもどんどん使ってほしいと考えています。

また、vibe coding(バイブコーディング)の広がりにより、先生自身が実践や校務に合わせた小さな自作ツールを作る機運が高まれば、これまで難しかった授業実践業務効率化が一段と進むと見ています。

なお、本記事は2025年8月8日時点の初期情報と短時間の試用に基づく暫定的な整理であり、主観的な評価を含みます。

公式情報

GPT-5 が登場
https://openai.com/ja-JP/gpt-5/

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